ワインをおいしく飲むために(4)
今まで連載形式で、ワインをおいしく頂くための様々なお話を、西麻布にあるビストロ「ビストロアンバロン」のオーナー両角さんからお伺いしてきました。
最終回を迎えた今回は、両角さんご自身がワインやお料理にかける情熱、こだわりについて、少し掘り下げてお伺いしたいと思います。
バックナンバーはこちら
第1話「意外?! ワインをおいしく飲むのに大切なコト」
第2話「こんな意味があった!グラスの形」
第3話「飲む前から楽しめるプロのアイテム」
両角さんがビストロアンバロンをオープンしたのは2009年。
実は、それまで全く違う業界でお仕事をされていたのだそうです。
「外資の会社で金融関係の会社にも在籍していました。」
金融!全然違う業界でキャリアを積まれていらっしゃったのですね。
なぜ、飲食店を開いたのでしょうか?
「きっかけは、リーマンショックでした。しばらく世間が回復しないなと思ったその時、サラリーマンはもう十分やったかなと。」
「これから先、自分らしくできる仕事って何だろうって改めて自分を見つめ直したのです。その時に、“食しかないな”と。」
味噌も手作りするほど、料理作りが好きなご家庭で育った両角さん。
幼少の頃から、今あるものをどうやったら美味しく食べられるか という事を考える価値観があり、美味しく食べる、美味しく飲む。という事が好きだったのだそうです。
サラリーマン時代には、ワインがあまりにも好きで、プライベードでワインスクールに通い、ワインスペシャリストの資格を取得。
同じく在職中に、チーズスペシャリストの資格まで取得されたのだとか!
本当にお好きだったのですね。
「ワインって歴史がある飲み物でしょう。本当に奥が深くて。
ワイン自体も好きだけど、その奥深さを知ることが好きなんです。
産地、生産者、その年の天候、、。少し違うだけで、仕上がるワインは全然違う。
その1杯の裏にある歴史、作り手の想いを考えると、ワインがより美味しく味わえるんです。」
「食は文化」とおっしゃる両角さん。
ワインのみならず、レシピや食材が持つ背景や歴史を大切にされているのだそうです。
お店で使用しているカトラリーや食器、壁に飾っている絵1枚1枚にも思い入れが。
お店で使用されているカトラリーは、なんとルネッサンス期にデザインされたものなのだそうです!
21世紀の今眺めても、古臭さのようなものは全然感じません。
シンプルさの中に愛着を感じるデザインです。
「本当に良いものって、時が経っても廃らないんです」と両角さん。
好きな物に囲まれている今がとても幸せだとおっしゃっていました。
お店の壁には、お客様が絵付けをしてくれたというお皿が飾られていました。
モチーフはお店のシンボル、気球。
お客様からの愛情を感じますね。
「入口のモビールも、気球をモチーフにしたものをお客様がお土産で持ってきてくれたものなんだけれど、これと同じものがエルメスのショーウィンドウに飾られていたこともあるんですよ。」
それは壮大な背景ですね!
ちょっとレトロな色彩に、歴史を感じます。
ひとつひとつのバルーンをネットで覆った造りはとても繊細です。
「元々美味しいものを飲み食べする事は好きで、行きつけの店では味に厳しくて緊張されたこともあったみたいです。」という両角さん。
開店当初は100本程度だったワインも、収集するうちに今や400本に。
全てご自身で選ばれ、ワインリストの解説もご自身で書いていらっしゃるそうです。
ワインのラベルを見ると、そのワインが育った環境や、育てた人の歴史が目に浮かぶのだそう。
大充実のワインリストは、まるで1冊の本を読んでいるようです!
「せっかくビストロアンバロンに来ていただいたからには、新しい美味しさ、新しい冒険を体験して欲しい という想いで、お客様が知っているワインの世界のギリギリ端か、1歩新しい世界にに踏み出すような1本をお勧めしています。」
来店されるお客様が「美味しかった」だけではなく「楽しかった」と言って帰ってくれるように、毎日努めていらっしゃるのだそう。
ビストロアンバロンでは、まかないをお客様に提供するイベントや、音楽を聴きながらお食事を楽しむイベントも開催しています。
どれもお客様との会話の中から生まれた企画なのだそうですよ!
お食事を頂く場所としてだけでなく、お客様が楽しめる空間だからこそ生まれた企画ですね。
ビストロアンバロンの両角さん、お忙しい中インタビューにご協力頂きありがとうございました!
INDEX
第1話「意外?! ワインをおいしく飲むのに大切なコト」
第2話「こんな意味があった!グラスの形」
第3話「飲む前から楽しめるプロのアイテム」
第4話「両角さんが大切にしている事」